※長いので注意
当時、借金は犯罪だった。重債務者となったオケイリーは債務者監獄に収監される。
— エリザ (@elizabeth_munh) January 14, 2023
この監獄でオケイリーは二重の意味でのパートナーと知り合った。売春婦のシャーロット・ヘイズで、彼女はそこらの娼婦より余程頭が切れており、売春ビジネスを組織化できる、謂わば娼館の経営者だった。
シャーロットはロンドンの娼婦達をかき集めて非合法な娼館を組織し、オケイリーはコーヒーハウスに陣取って好き物の旦那衆を斡旋する女衒となりつつ、彼自身のビジネスである詐欺もやる。
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2人は骨の髄まで悪党だった。そして、少しでも儲けられそうな事については誰より鼻が効くようになる。
「競馬はよく分からんが、どうも気になる。行ってみるか」
— エリザ (@elizabeth_munh) January 14, 2023
行ってみると、正に噂の如し、極端に気性が荒いエクリプスは他の馬も騎手も馬主も寄せ付けず牧場の主人として君臨し、馬主は泣きべそかいていた。
「騸馬(去勢)するか……」
それを聞いたオケイリーは猛烈な剣幕で抗議した。
調教師の他に乗りこなせる騎手もない程で、デビュー戦もそのまま引き続き調教師がやる事になった。
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エクリプスはデビュー戦前に未勝利の馬とテストレースを済ませていた。
結果は虐殺とでも表現すべきもので、エクリプスは興奮し、デビューずみの相手を地平線の彼方へと突き放す。
会場全体がエクリプスを別格と認識したので賭場は冷めた。
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「次のレースも一着エクリプスは確定だ。いわゆる銀行レースだな……」
みんながエクリプスに賭けたのでエクリプスのレートはとても低くなる。エクリプス以外に賭けるのは余程のバカ。
そんな中、オケリーは言う
「詰まらん賭け方だな?」
流石のエクリプスもそこまでは離せまい、と大勢が賭けに乗った。
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「馬鹿かアイツ、初走ならともかく、これはヒートレースで、しかも4マイル走だぞ?」
当時の競馬のルールは今と違う。短い休憩で何度も走り、連続して一位になった馬が優勝するルール。
始まるやいな、ギンと睨む目でエクリプスが走り出す。オケイリーは叫んだ。
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「行けぇ! エクリプス! ボロ儲けだ!」
騎手は半泣きだった。コースは勝手にエクリプスが進む。彼に出来るのは、とにかく振り落とされない事だけ。
「何だこれは!? これは本当に馬なのか!?」
エクリプスは無敵かつ、隔絶した馬だった。戦えば戦うほど誰もエクリプスに勝てないことが明らかになる。
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やがて誰もがエクリプスとの対戦を避けた。エクリプスが出るとなればみんなして出走を拒否するので、エクリプスはやがて厄介者となる。馬主も困り果てた。
オケイリーのもと、エクリプスは文字通り孤独な勝利を重ねた。エクリプスが強すぎて誰もマッチしたがらない。単独でレースを走るエクリプス。
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「エクリプス何するものぞ!」
と言う強気のオーナーもいたにはいたけど、オケイリーは親指を逆さに命じる。
「殺せ。エクリプス」
アイルランドの貧農出身のオケイリーは、イギリスの名門貴族達からどうか種付けをと懇願されるようになった。
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オケイリーは名士となる。しかしイギリスのジョッキークラブは意地でもオケイリーを正会員とは認めない。どう考えたって生まれも卑しく、また、立身出世も賭場でのものではないか。
「エクリプスの子供で甘い汁吸う権利があるのは、エクリプスに張った俺だけだ。地獄にカネは持っていけんから、同じ事したけりゃ自己判断でカネを張れ。
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さて、地獄行きか。エクリプス。お前も性格悪かったから地獄かもな。もしそうならあの世でも儲けさせてくれ!」
ツイッター民の反応
おもしろかった
コメントをどうぞ
エクリプスのオーナーが途中で変わってるって初めて知ったわ
現在のサラブレッドの95%以上が父系エクリプスなんだっけな
エグい
もしエクリプスとヘリオスがレースしたら、どちらが勝つかな?